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自分の備忘録ぐらいに適当に。 ネットワークと宇宙開発と天文とそれと自転車を徒然と。
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かねてから講演を聞きたいと思っていた國中教授の講演ですが、3月4日に東京都小平市にある
職業能力開発総合大学校東京校 第15回ポリテックビジョン in 東京
「特別講演 はやぶさ探査機の地球/小惑星間往復航海」
にてされるというところでこれを逃すと当分聞けそうにないと思い、行ってきました。

で、とりあえずざっくりとした内容・感想などを。

・人工衛星が飛んでいるというのは文学的にはいいが、物理的には間違っている。物理的には落ち続けているというの正しい。

・慣性航行、惰性航行が人工衛星、人工惑星で、動力航行が宇宙船である。そして はやぶさ はイオンエンジンを使って動力航行をした宇宙船である。人工衛星とは全然ハードルの高さが違う。

・一番作ったイオンエンジンは1989年のY-1号機。効率が20%が消費電力が10000Vと全然モノにはならなかった。ただこれはアイディアをまずモノにしたモノだからそれはそれ。これを開発を続けて はやぶさ に載せたμ10エンジンは効率が80%で200Vと米ロのイオンエンジンと遜色なくなった。ただμ10エンジンは2001年とイオンエンジンの開発は一長一短でできるようなモノではなかった。アイディアを形にするには10年程度の期間が必要である。

・そしてイオンエンジンをはやぶさプロジェクトで使えるか!というところで今までそんなに大してお金がもらえていなかった(年百万規模の研究費)し、加速試験的な手法も当然できていない(初めてなんだし)こともあって担保できるモノは何もなかった。ただここで手を上げない限りこのマイクロ波放電式イオンエンジンが日の目を見ることはない。次のステップに進むにはお金は必要だ(衛星搭載機開発だと数億の予算になる)。
なので「五年後に使えるエンジンができるんですか?」という問いに対して
根拠はないけど
「できます。」
というしかない。
あったのは ハッタリ/ツッパリ のみ。

・イオンエンジンに求められた耐久性のは1台あたり1万4千時間。ただぴったりだと不安なので1万8千時間、2万時間の耐久試験をやろうと。しかし耐久試験をやるにしても加速試験の手法が確立していないのでそのままの時間経過で確認するしかない。1年は8700時間程度だから 2万時間は2年半 かかる。それを結局2回実施した(計5年)。

・他にもいろんな試験をしている。
  電波を使ってプラズマを作るので通信に使う電波に影響がでないか。
  イオンエンジンを探査機間近で動かして探査機に影響が出ないか。
  探査機ができあがったときに探査機の載せて直に点火試験をしている(End-to-End試験)。

・イオンエンジンの燃料であるキセノンを充填するのに80気圧ぐらいかけながら入れないといけないけど特殊な機械が必要でそれも自分たちで設計して作った。

・イオンエンジンはどういったものですか?ということについて原理を説明することはスライド一枚でできるが、
それを動かすためにはいろいろな機械、技術、試験方法がないとシステムとして動作しないということを理解して欲しい。

・期間の95%を動力航行をしないといけないという要求があった。しかし、運が悪いことに5ヶ月後に史上最大の太陽フレアを受けてしまう。それによって太陽電池の100Vぐらい出ていたのが 2,3V の低下がおきてしまった。爪に火をともすような運転をしないといけなかった。太陽から離れるにしたがって太陽電池パネルの発電量が徐々に下がり、それに併せてイオンエンジンの消費電力量も抑えていった。

・イトカワ近傍に到着し2005年8月27日にイオンエンジンを停止し、慣性飛行で近づいていく2週間が非常に楽しかった。
技術革新によって行けなかったところに行けるようになる、見えなかったことが初めて見えるようになる。
そういうことが実感できた2週間であった。

・國中教授は半分仕事が終わっているので気楽であったが、着陸を操作する人たちは詳細の図を見て愕然としていた。なぜなら、着陸できるようななだらかなところが窪地でそこに着陸しないといけない。しかも回転している小惑星に急降下して着陸しないといけない。

・通信不通からの復帰後の姿勢制御に中和器からのキセノン生ガス噴射を行ってみたらうまくいった。右の2つを噴射、左の2つを噴射、上の2つを噴射、下の2つを噴射という風におこなったらトルクを発生させることができた。
推進装置としては最低・最悪の性能で落第だが、イオンエンジンどうこうではなく はやぶさ を生かすための緊急避難的にこういった手法を用いた。


といったところで今日はこのくらいで。

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【2011/03/06 22:41】 | 宇宙開発
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